ARLIP
人間が何を確認し、何を撤回し、何を変更し、
何を未確定として残したかを、外部に書き出すための検証プロトコルです。
AI を賢くするための道具ではありません。AI の誤りを減らすことも目的ではありません。設計者自身の判断を、あとから自分で点検できる形にして残す。それだけの仕組みです。
測定台帳が MOLECULE の数値に対して行っていることを、ARLIP は判断に対して行います。同じ構造です。基準を外に置くという一点で、二つはつながっています。
Why
AI の出力は毎回変わります。自分の判断も、日によって変わります。
変わっているかどうかを、内側からは測れません。
だから外に検証装置を置き、定点を決めます。定点が決まると、はじめて「前と比べてどう変わったか」が測れます。ARLIP のバージョンが上がるのは、その変化が確認できたときです。版番号は改良の宣言ではなく、変化の観測記録です。
Critique
AI への指摘は、多くの人がやっています。
AI に自分の意思決定そのものを問い直させることは、容易ではありません。
容易でないのは、自分の意思決定を AI に晒すことを意味するからです。v5.0 で加えたのは、この批判を義務としてファイルに書き込むことでした。義務にしたのは、操縦者の機嫌から独立させるためです。指摘と批判の違い
Failures
ARLIP が最初に適用された対象は、設計者自身の看板でした。
設計者の誤りを設計者自身が後から見つけられる形にする。それが目的である以上、最初の検出対象が設計者自身であることは、想定の内側にあります。
Origins
ARLIP は、長い時間をかけて設計したものではありません。
AI について書き始めてから命名まで、三週間です。
この期間の記録は、自社ブログに39本残っていました。v1.0 から v3.1 までは一日です。版番号は経過した時間ではなく、変化を確認した時点に付けています。
なお TARS 期の記録は、この時期の公開記録に残っていません。ARLIP の前に何があったかを、当時は外部に書き出していませんでした。外部化していないものは、後から辿れません。このページが述べていることの、最初の実例です。
Versions
| TARS公開記録なし | ハルシネーションの抑制と、緊張の緩和。命令文の乾いた正確さと、命令してしまう人間の心理を切り離す。最初から両方を兼ねていた。 | 基盤 |
| v1.0 | 客観的な命令文と、人間の心理的障壁を分離する。入力設計によって出力を整える構造として定義した。 | 2026-02-03 |
| v2不明 | 分離設計の続き。v1.0 の翌日に v3.1 の記録があるため、この版がいつのものかは分かっていない。 | |
| v3.1 | TARS を重ねて深度を上げた結果、硬直した。「力を抜く」機構を回復した。前の版で壊したものを直した記録である。 | 2026-02-04 |
| v4.0 | 多層構造。農業の単軸から、食品・施設インフラを含む複数軸へ適用範囲を広げた。 | 2026-03 |
| v4.1推定 | 観察された現象から何が言えて、何が言えないかを分ける。現象から機序への飛躍を止めた。 | 2026-05 |
| v5.0 | 批判義務。明示的な許可なしに操縦者を批判する義務を、ファイルに書き込んだ。機能ではなく義務の追加である。 | 2026-05-16 |
| v5.1 | 起動コンテキストを約1/10に圧縮。コア60行とマスター700行の二層構造にした。思考が途切れない設計。 | 2026-05-17 |
| v5.8推定 | 撤回条件。「どうなったら効いていないと認めるか」を先に決め、公開する。 | 2026-05 |
| v6.0 | 態度の規定より、台帳。台帳の作成ルール、書き込みルール、編集のタイミングを確定させた。 | 2026-06 – |
※ v4.1 と v5.8 は推定です。記事の日付と主題から復元したもので、プロトコル本体の変更記録は残っていません。v5.2 から v5.7 は欠番で、中間版が存在したのか、番号の付け方が変わったのかも分かっていません。v2 も、いつの版なのかが分かりません。v1.0 の翌日に v3.1 の記録があるためです。
版の履歴を後から辿れなかったという事実そのものが、記録は後から必要になるという主張の実例になっています。v6.0 で台帳のルールを確定させたのは、この経験のためです。
Out of scope
※ 1回だけ挙がった指摘の総数は記録に残していません。割合のみを記載します。