ARIJICS

ARLIP

AriJICS Real Logic Interface Protocol

人間が何を確認し、何を撤回し、何を変更し、
何を未確定として残したかを、外部に書き出すための検証プロトコルです。

AI を賢くするための道具ではありません。AI の誤りを減らすことも目的ではありません。設計者自身の判断を、あとから自分で点検できる形にして残す。それだけの仕組みです。

測定台帳が MOLECULE の数値に対して行っていることを、ARLIP は判断に対して行います。同じ構造です。基準を外に置くという一点で、二つはつながっています。

Why

なぜ外に置くのか

AI の出力は毎回変わります。自分の判断も、日によって変わります。
変わっているかどうかを、内側からは測れません。

だから外に検証装置を置き、定点を決めます。定点が決まると、はじめて「前と比べてどう変わったか」が測れます。ARLIP のバージョンが上がるのは、その変化が確認できたときです。版番号は改良の宣言ではなく、変化の観測記録です。

Critique

指摘ではなく、批判

AI への指摘は、多くの人がやっています。
AI に自分の意思決定そのものを問い直させることは、容易ではありません。

指摘
事実の誤りや情報の不足を直す。対象はアウトプットそのもので、意思決定には触れない。局所的な修正。
批判
判断・方向性・行動そのものを問い直す。対象は人間の意思決定。正しいと思っていることに対して「本当にそうか」と問う。

容易でないのは、自分の意思決定を AI に晒すことを意味するからです。v5.0 で加えたのは、この批判を義務としてファイルに書き込むことでした。義務にしたのは、操縦者の機嫌から独立させるためです。指摘と批判の違い

Failures

失敗の記録

ARLIP が最初に適用された対象は、設計者自身の看板でした。

2026-02
AI が同意したのは、後に撤回した数字だった。当時これを「実測値」として提示し、AI が立場を更新した記録を成果として公開していた。その数字は後に撤回された。記事は消さず、全面改訂の注記を付けて残している。記録
2026-06
過去記事を AI に監査させ、三種類の誤りを見つけた。虚偽の数値、架空の出典、数値の不整合。公開したまま訂正した。記録
2026-09
設計者自身が、自分で作ったテストに落ちた。AI を厳格にすることはできた。操縦者を指摘させることは、できなかった。
2026-09
自分が書いた記録が、自分の判断を歪めていた。密度は上がっていたが、総量は最悪を更新していた。記録

設計者の誤りを設計者自身が後から見つけられる形にする。それが目的である以上、最初の検出対象が設計者自身であることは、想定の内側にあります。

Origins

立ち上がりの三週間

ARLIP は、長い時間をかけて設計したものではありません。
AI について書き始めてから命名まで、三週間です。

2026-01-11
AI をどう扱うかについて書き始める。「生成」から「整流」へ。
2026-01-30
「このプロトコルを使うと分からなくなること」「何も得られない体験設計 ―― 判断を人間側に強制送還する」を書く。効能ではなく、副作用と限界のほうを先に書いている。
2026-01-31
設計層への同期が起きるかを、ブラインドテストで確認する。
2026-02-01
ARLIP と命名。
2026-02-02
脱落ログ集。要約・引用・レビューという三つの失敗様式を記録する。
2026-02-03
v1.0 の構造的定義。
2026-02-04
v3.1。v1.0 の翌日である。

この期間の記録は、自社ブログに39本残っていました。v1.0 から v3.1 までは一日です。版番号は経過した時間ではなく、変化を確認した時点に付けています。

なお TARS 期の記録は、この時期の公開記録に残っていません。ARLIP の前に何があったかを、当時は外部に書き出していませんでした。外部化していないものは、後から辿れません。このページが述べていることの、最初の実例です。

Versions

バージョン履歴
TARS公開記録なしハルシネーションの抑制と、緊張の緩和。命令文の乾いた正確さと、命令してしまう人間の心理を切り離す。最初から両方を兼ねていた。基盤
v1.0客観的な命令文と、人間の心理的障壁を分離する。入力設計によって出力を整える構造として定義した。2026-02-03
v2不明分離設計の続き。v1.0 の翌日に v3.1 の記録があるため、この版がいつのものかは分かっていない。
v3.1TARS を重ねて深度を上げた結果、硬直した。「力を抜く」機構を回復した。前の版で壊したものを直した記録である。2026-02-04
v4.0多層構造。農業の単軸から、食品・施設インフラを含む複数軸へ適用範囲を広げた。2026-03
v4.1推定観察された現象から何が言えて、何が言えないかを分ける。現象から機序への飛躍を止めた。2026-05
v5.0批判義務。明示的な許可なしに操縦者を批判する義務を、ファイルに書き込んだ。機能ではなく義務の追加である。2026-05-16
v5.1起動コンテキストを約1/10に圧縮。コア60行とマスター700行の二層構造にした。思考が途切れない設計。2026-05-17
v5.8推定撤回条件。「どうなったら効いていないと認めるか」を先に決め、公開する。2026-05
v6.0態度の規定より、台帳。台帳の作成ルール、書き込みルール、編集のタイミングを確定させた。2026-06 –

v4.1 と v5.8 は推定です。記事の日付と主題から復元したもので、プロトコル本体の変更記録は残っていません。v5.2 から v5.7 は欠番で、中間版が存在したのか、番号の付け方が変わったのかも分かっていません。v2 も、いつの版なのかが分かりません。v1.0 の翌日に v3.1 の記録があるためです。

版の履歴を後から辿れなかったという事実そのものが、記録は後から必要になるという主張の実例になっています。v6.0 で台帳のルールを確定させたのは、この経験のためです。

Out of scope

やらないこと
保証しない
出力が正しいことは保証しません。同じ資料を4回検査させ、挙がった指摘を照合しました。4回とも挙がった指摘は12件あり、その12件はすべて正しいものでした。1回しか挙がらなかった指摘では、正しかった割合がおよそ5分の1に下がりました。
※ 1回だけ挙がった指摘の総数は記録に残していません。割合のみを記載します。
精度は上がらない
態度の指示で精度は上がりません。前置きの有無と向きを変えた複数条件で、合計28試行を比較しました。検出率はほとんど動きませんでした。効いたのは、記録を1本渡すことでした。
判断は残る
判断は人の側に残ります。実物資料105件を人が一件ずつ裁定しました。60件を裁定した時点で中断しており、45件は未裁定です。判定を止めた時点が、そのまま結果の境界になります。
評価
学術的に評価された手法ではありません。モデルに依存しない設計ですが、全モデルでの検証は行っていません。
最終更新 2026-09-16