Design
この試験の値は、数字そのものよりも条件の揃い方にある。揃えたものと、揃っていないものを先に並べる。
同じ井戸水(塩素を含まない)。両区とも掛け流しで、循環させていない
水温 18〜19℃(飼育期間中)
同じ容器(同一メーカー・同一サイズ)・同じ水量
同じ固形餌・同じ給餌回数・同じ掃除・同じ器材・同じ置き場所
ポンプを使わない。流速は低く、単流(掛け流し)
Result
38日齢・2026-09-11。各区10尾以上を同じ日に測定した。
| 項目 | 井戸水区 | 処理水区 |
|---|---|---|
| 平均全長 | 25 mm | 55 mm |
| 後肢 | 確認できず | ― |
| 前肢 | ― | 出た個体あり |
生き残っている数は処理水区のほうが多い。アフリカツメガエルは密度が高いほど成長が遅くなるため、処理水区のほうが成長に不利な側にいる。それでもこの差が出ている。ただし生存数は目視であり、数えていない。
Water
2026-10-02。3セットすべて同じ日に、ペン型の計器(FieldNew)で測定した。
| 項目 | 井戸水区 | 処理水区 | 読み |
|---|---|---|---|
| 溶存酸素 | 1.4 mg/L(飽和度 15.7%) | 1.7 mg/L(藻の掃除前)/1.4 mg/L(掃除後) | 両区ほぼ同じ。どちらも低く、致死域に近い。この差で成長の差は説明できない |
| pH | 8.39 | 7.74 | 差は 0.65。2区の違いのうち、生物に効きうるのはここ |
| EC | 184 µS/cm | TDS 96 ppm(同じ計器の EC 換算で約 192 µS/cm) | ほぼ同じ |
| 水温 | 17.2〜17.8℃ | 17.2〜17.8℃ | 両区同じ |
Look
| 井戸水区 | 処理水区 | |
|---|---|---|
| 藻 | 増えない | 生えている |
| 水 | 泡や汚れが浮いている | 透明(グリーンウォーターではない) |
| におい | 臭う | 臭わない |
においは協力先の6名による官能で、同じ向きの答えだった。盲検ではなく、機器で測っていない。協力先であり第三者でもない。藻と水の見え方は代表の観察である。
Reference
国際的な試験法の対照区の成立条件と突き合わせた。この試験はその試験法に沿って行ったものではない。目安として並べているだけである。
OECD TG 241(LAGDA)の対照区の成立条件:21±1℃で、NF62 まで平均45日以内
| 区 | この試験の位置 |
|---|---|
| 処理水区 | 前肢が出ている=NF58 前後。45日で NF62 は射程に入る |
| 井戸水区 | 後肢が確認できない=NF50 以下 |
水温が 17℃台で、この試験法の 21±1℃ とは違う。日数の比較はそのままでは成り立たない。
Reading
仮説・検証中
2区の違いのうち、生物に効きうるものは pH である。アンモニアは水の中で2つの形をとり、どちらになるかは pH で決まる。毒性が強いのは遊離アンモニア(NH3)の側である。
NH4+ ⇌ NH3 + H+ (pKa 9.47〜9.48。17.7〜17.8℃)
| 区 | pH | 遊離アンモニア(NH3)の割合 |
|---|---|---|
| 井戸水区 | 8.39 | 7.58% |
| 処理水区 | 7.74 | 1.82% |
同じ総アンモニア濃度なら、井戸水区のほうが毒性の本体の割合が高い計算になる。
これは水の化学からの計算であって、総アンモニアそのものは測っていない。計算が合っていることと、それが成長の差の原因であることは別である。pH がなぜ下がったのかも分かっていない。
この話は、遊離アンモニアの割合についてのものである。アンモニアの総量が減るという話ではない。別の案件で第三者がガス検知で測った試験(n=3。通常水と試料水の測定順を対ごとに入れ替えたもの)では、総量の差は認められなかった。3対のうち2対は試料水のほうが高く、低い対は1つも無い。一方で、においの官能では差が出ている(アンモニア水で協力先5名、この案件の水で協力先6名)。機器で差が出ず、人では差が出る。この形は味覚センサーと官能試験でも起きている。どちらかが誤りとは限らないが、人の側だけを出せば機器の結果を伏せたことになるので、対で書く。
Limits
上の数字を引用するときは、この節も一緒に引用してください。ここを外すと、この試験が示していないことまで示したことになります。
- 各区1容器しかない。容器の中の個体数は反復ではないため、統計的な有意差としては示せない
- 生存数は目視であり、数えていない
- 容器の色が処理と一致している。明るさの交絡が残る
- 再現を確かめていない。同じ結果になるかは分からない
- 溶存酸素では説明できない(両区ほぼ同じ)
- アンモニア・亜硝酸・硝酸を測っていない
- 水温 17℃台は、一般的な飼育推奨域(18〜25℃)を下回っている
- pH が下がった理由が分かっていない
Position
当社が持つデータのうち、条件が最も揃っているのはこの試験である。他のどの圃場試験にも、ここまで揃った対照はない。それでも反復が無いため、現時点では1例の観察である。
次のターンで各区3容器以上にする。これがこの案件の最優先の課題である。容器の色も揃える。アンモニア・亜硝酸・硝酸を測る。